九州南部豪雨調査レポート

九州南部豪雨 初動レポート

今回の九州南部を中心とする豪雨で、犠牲になられた方に心よりご冥福をお祈りします。また、被害にあわれた方に心よりお見舞い申し上げます。
2019年6月30日頃から九州南部に集中して振った雨を警戒し、7月2日から4日にかけて、現地で被害調査をしました。その詳細をまとめたレポートです。


①九州南部を中心に停滞している梅雨前線に湿った空気が流れ込み、まとまった雨が予想される
②梅雨前線が長い期間停滞する予報で、長期的にまとまった雨が集中して降る可能性がある
③桜島や阿蘇山など火山が近く、火山灰のシラス台地という地質が、まとまった雨には弱く、過去にも大規模な災害発生している

以上の状況を踏まえ、特に鹿児島県や宮崎県で大規模な災害が発生する可能性が高いと判断しました。
また、2016年の熊本地震から活動するKVOAD、7月5日で発災から丸二年を迎える福岡県朝倉市の杷木ベースなど、九州には関わりのある団体が多く、
(1)雨の状況の確認や「もし何かあった場合」の体制などを確認すること
(2)7月7日に愛媛県宇和島市で、西日本豪雨から丸一年の慰霊式典に出席予定であること
など、様々な用事やスケジュールを踏まえて、7月2日に九州入りしました。

 

【事前調査】


まずは福岡県朝倉市杷木に向かい、現地の様子をチェック。2017年の豪雨で土砂流出が起こりやすくなっているため、現地で活動を続ける杷木ベースで状況を聞きました。幸いまとまった雨が振っていなかったので、大きな被害もでておらず。今後の気象状況に注意を向けるように伝え、熊本県へ向かいました。

ちょうど火の国会議(熊本地震発生後から毎週開催されている支援者のための情報共有会議)が開催されていたので、出席。熊本地震からの復興支援で現在課題になっていることなどを聞いた後、3日〜4日にかけて降ると予想されていた雨について、参加者と協議。熊本県内では人吉や水俣など南部で水害が起きやすいという点などを確認。2日までの雨で冠水していた益城町の状況なども聞きました。また地元支援者から、鹿児島県や宮崎県の支援者の情報などをヒアリングしました。

 

【現地調査】

雨の様子を見ながら、南下し、鹿児島県に入ったところで待機。雨のピークが過ぎた4日朝までの情報で
・南さつま市の万之瀬川の決壊
・霧島市の住宅冠水
・宮崎県都城市
・2年前に被害を受けた垂水市
・雨が多かった大隅半島
などが気になったので、霧島市内で冠水したと報道があった地区から調査を始めました。

しかし、該当のエリアでは住民が家で片付けを進めるような姿もなく、落ち着いた様子でした。
霧島市内では、山肌が露出している箇所が点在していました。小規模のものが多く、民家や建物へ被害を及ぼしているものは多くはない印象です。また、1日から降り続いた雨によるものもあり、すでに復旧作業が進められている場所もいくつかありました。
河川の状況も、普段からは大幅に増水していましたが、はん濫危険水位から下がり、このまま順調に水位が下がっていくと予想ができました。
ただ、川の水は真っ茶色に濁っており、川の中にも砂などが堆積していました。それぞれの山からの土砂流出が少なくなかったと想像できます。

南さつま市については、メディアからドローンの映像が発表されていたこと、田畑が主で住家への被害は少ないと判断したため、今回は現地まで足をのばしての調査を見送りました。

 

【結果として】

今回4日朝までの降雨による被害は、現段階ではあまり大きくは現れていないと考えます。今までにない雨量を考えると、大きな被害が最小限に抑えられたと感じます。
しかし2017年に九州北部豪雨の被害を受けた日田市では、雨が止んだ翌日に大規模な地すべりが発生するなど、降雨のタイミングとはずれて被害が発生することもあります。まだ地中に含まれる水分も多く、崩れやすくなっていることから地震などへの注意も必要です。
更に、来週以降に再びまとまった雨が降るという予報もあり、それまでにどれくらい山や土地が落ち着いているか分かりません。
予断を許さない状況は続いていると考えたほうが良いでしょう。今後も特に九州南部の気象状況に注意したいと思います。

 

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