1月2日能登半島に来てから、たくさんの方のお力をお借りして、能登半島各地で活動してきました。
数えてみると、なんと12月31日までに累計12,138名の方が広域支援ベースや結を経由して活動してくださいました。
本当にたくさんのみなさんにご協力いただき、2,100件以上の活動ができました。
上半期の活動実績詳細はこちら
地震の被害が大きかった分、たくさんの方にご支援いただきました。
今までずっとサポートくださっているみなさま、今回の地震以降知ってご支援くださったみなさま、能登半島で一緒に汗を流してくれたみなさん、本当にありがとうございます。心より感謝申し上げます。
2024年1月1日16時10分からもう一年。
今までで一番長い緊急期です。
9月の水害の影響もありますが、365日たってもまだ緊急期の場所があります。
多分全国で報道されているより、現地で感じる被害は大きく、ここから復興までは長くかかる印象です。
簡単に比べられませんが、過去の地震被害よりもしんどい場面があります。
1月以降の復旧に関わったいろいろな機関の方が、それぞれ能登半島の被害の特殊性を感じているはずです。
特殊な被害になったポイントは2つ
【被害の大きさ】
・ライフライン
こんなに断水するなんて、誰も想像できませんでした。断水したまま9月にも豪雨被害があったし、まだ断水や停電したままの場所もあります。
まだ避難所にいらっしゃる方もいます。道路を含めたライフラインが復旧しないから、家に帰れない方が少なくありません。
ライフラインが整わないから、支援体制を構築するのも難航した部分があります。
・二重、三重被害
2023年5月に珠洲市で震度6強、2024年1月の震度7、9月の豪雨と度重なる被害に見舞われています。
1月の地震から復旧を進めていた家が水害にあってしまったケースもたくさんあります。地震で一部損壊で直したら住めるので、屋根を100万円かけて修理したけれど、9月の豪雨で土砂と流木が家に流れ込んでしまいました。
半壊に至らないような被害、まだしっかり建っているから修理している最中のケースをいくつも聞きました。
仮設住宅で停電や断水になったり、仮設住宅が床上浸水した事例は、今までの被災地史でも初めてな気がします。
・復旧感がない
地域の住民の方に向けたアンケートでも、半数以上が復旧の進みを感じられていないと回答。現地に毎日いる私たちも、復旧している感じを受け取りにくい状況です。もちろん、ハード面での復旧はガツガツ進められています。大きな道もかなり段差がなくなり走りやすくなりました。公費解体で更地も増えてきました。
それでも、地域が復興に向けて前進している感覚は薄いのです。
毎日の風景に、まだ被害の爪痕がおおきいこと、今後復旧していくイメージをつかみにくいことが関係しているでしょうか。
一体この先、自分の生活がどうなっていくのかが考えられず、不安な気持ちを抱えていらっしゃる方も多いはずです。
安心して生活再建できるような、大きな支えが行政からあればいいなと思います。
【半島の特性】
・人口減
もともと高齢化で人口減少していた能登半島です。地震がきっかけで能登を離れる人も。行政職員などの離職も多いと聞きます。
せっかく地震後に再開した小さなお店も、町の人口が大幅に減ってしまったことで営業が厳しい。
人口減少が爆発的に進み、街の機能の維持が難しい局面にきています。
福祉施設の職員不足で、デイサービスや入浴支援ができない。だから、体が不自由になってきた高齢者は、家のお風呂に入れなくなったら家での生活ができない。その人らしい生活を支えるための機能が少しずつ滞っています。
地震や水害をきっかけに小学校などが一時的に統合されていたりもします。このままでは、うちの地域の小学校がなくなってしまうのでは?と危機感がある地域も多いはずです。小学校が統合されてしまえば、人口減少はもっと進みます。
もともと、人口規模が小さかったので、地元の業者さんも少ない。そもそも全国的に職員不足でもあるので、公費解体や復旧で、あちこちからの業者さんが入っています。外国人の方で解体に従事している人もよく見かけます。
人口減少が、本当にたくさんの課題に結びついています。
一つひとつの課題が人口減少によって難しくなっています。
人口減も高齢化も日本全国の共通課題。
今の能登は、全国どこでも起きえることだと感じています。
今だからこそ、能登の課題を全国各地でしっかり自分事として考えてほしいのです。
80代のお母さんと50代の息子の二人暮らし。仮設住宅は1部屋とキッチンだけ。6畳ほどの一部屋で、生活リズムの違う二人が寝起きする。それだけでなく、ご飯を食べるのもテレビを見るのもその一つの部屋。
こんな息の詰まる生活無理だ、と隙間だらけの家に戻る方や車庫で暮らす方もいらっしゃいます。
仮設が狭いから、電気や水の来ない家に世帯の一部だけ戻っているケースも。
空間的な狭さから、家庭内暴力につながっているという話は過去にもよくありました。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
憲法25条の存在を何度も考えた1年でした。
避難所の問題も、仮設住宅の使いにくさも、災害廃棄物も毎度の課題。
いつも同じ課題が議論されていたりします。
過去の被災地で議論された課題が、ちゃんと次の被災地の復旧では解決されていきますように。ノウハウの引き継ぎがしっかりされるような国の体制構築を一刻も早くと願います。