活動報告−九州スタディーツアー本編

 

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5月14日〜16日でスタディーツアーが実施されました。結も、アドバイザーとして二日間同行しました。主催はひちくボランティアセンター(NPO法人リエラ)で、一年前は参加者として熊本に勉強に出向いた側が、企画して受け入れる形になりました。→これまでの経緯について

1日目−朝倉市

2泊3日の内、2日間はインプットの日。ということで、朝倉市に着いた一行は早速、杷木ベースへ。ベースの周辺を歩いて実際にどんな被害があったのかを確認しました。その後、朝倉市・社協・JA・生協などにも集まっていただき、それぞれの活動内容や今までの経緯を聞きました。

被災地の中心にベースを構えて地域の人に気軽に立ち寄ってもらえる場所になった杷木ベース、支え合いセンターのみなし仮設訪問について、JAが月に一度開設している農業ボランティアセンターの取り組み、みなし仮設や在宅住民の交流促進を目的としたふれあい農園、他にも社協(支えあいセンター)や農協と市民活動が連携し課題解決を進めている事例などがありました。
夜には、地元の方と宇和島の支援者とが交流する場があり、今後の活動につながる懇親会になりました。

2日目−東峰村、日田市

朝から朝倉市の中でも被害が大きかった松末地区を通って、お隣の東峰村へ。仮設団地の自治会長さんからお話を聞きました。被災直後の話から、若い担い手がいない村の現状、そして仮設自治会長として、地元で支援を受ける調整をする側としての思いなど色々な話がありました。

特に、仮設住宅を出てからのことを考えて、受ける支援を調整するという「支援の引き算」という考え方は、今後の宇和島でも重要な支援になると感じました。人はその状況に適応していく生き物です。仮設住宅のサロンの「おばちゃん、ご飯のおかわりぐらい自分で行けるやろ」というエピソードのように、被災者を骨抜きにしてしまうような支援であってはいけません。それは、支援を受ける側と支援をする側の双方が気をつけるべき点でもあります。

 

その後は井上酒造さんへ。文化財にも登録されている貫禄のある建物にてお話を聞きました。豪雨の中ご近所さんが酒蔵へ避難されてきた話、蔵が被災した話、原料のお米も被害を受けたけど更に新しい挑戦をしている話など、ちょっと涙腺が緩んでしまうような、地元と酒蔵への愛が溢れるお話でした。

お昼ご飯は、古民家カフェをやっているすずれ元気村のくまちゃん家へ。実は2012年の九州北部豪雨でも被害を受けており、そのときに結成したすずれ元気村のメンバーが立ち上げた集まる場が古民家カフェでした。しかし、オープン前日に二度目の九州北部豪雨が発生。カフェは窓ガラス一枚が割れただけでしたが、すずれ(鈴連)地域が土砂崩れで大きく被災。お話をしてくれた代表の方ご自身も被災し、みなし仮設で生活をされていました。

同じ地域の同じ「被災者」でも、被害が違えば受けられる支援制度も変わってくること、それも原因で何でも言い合える仲の人が少なくなってしまったこと、周囲に知り合いの居ないみなし仮設で気分が滅入ってしまい孤独感を感じていた話など、当事者目線の感覚を共有してもらうことができました。

 またNPO法人リエラの代表からは、その前身であるひちくボランティアセンターの活動などを紹介してもらいました。緊急期だからできた活動、その後落ち着いて来たときに必要になったこと、失敗したことなども教えてもらいました。支援のために必要な情報の集め方など、支援活動のちょっとしたコツから、組織運営の話まで、今の宇和島に必要な情報が盛りだくさんでした。

 以上の大きく4箇所を巡るツアーでした。

そしてツアーの締めくくりとして、2日目の最後に振り返りの時間がありました。この振り返りにはファシリテーション協会の方にもご協力いただきました。実は、朝倉市では、情報共有会議の議事進行サポートを緊急期の段階からしてもらっていました。宇和島市では、今まで外部の人に会議や議題の整理をしてもらうという経験がなかったので、良い機会だったと思います。

そんな助っ人の力も借りて、ツアー中に感じたことや今後宇和島の活動に活かせることなどを話し合うワークショップを行いました。それぞれ、訪問した先で気づいたことや、具体的に真似できそうなことなど意見があがっていました。

 二日間の日程で朝倉市~東峰村~日田市と訪れた今回のツアー。サポーターとして同行し、改めて被災地同士が交流するメリットを感じました。他の被災地と比較することで新しい気付きが生まれ、受け入れる側も準備の過程で学ぶ場になっていました。また、こうして団体を越えて共に考える時間を持つことが、関係を深くし、今後何かあった際に連携し合える仲間作りにも作用すると思っています。

 緊急期から中長期へと移行していくこの時期。外部支援者たちが少しずつ撤退していく中、地元支援者たちの自立が被災地にとって必要不可欠になっていきます。自立のために、広く長く客観的な視点の重要性を伝え、前に進んでいくきっかけを作るのも、離れていく外部支援者の一つの役割だと思っています。これからも、程よい距離感を大切に、被災地と向き合っていきたいと思います。

平成29年7月九州北部豪雨の直後の被害の様子