平成30年7月豪雨−各地域の被害の特徴と今後の課題

発災から1ヶ月が経ちます。西日本豪雨の被災地では未だに厳しい状況が続いています。災害NGO結として、発災直後から開始した活動はfacebooktwitterにて報告しています。今回は1ヶ月の時間の中で見えた各地域の被害の特徴と今後の課題をまとめました。
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平成30年7月豪雨では、全国で合計106の市町村に災害救助法が適応されました。死者220名、行方不明者9名、全国で少なくとも5,000件の家屋が全壊と認定、という被害が生じました。(内閣府防災、8月2日現在)
平成最悪とも言われる被害は、未だに全容をつかめていません。また、過去に類を見ない範囲で発生した水害は、地域の地形や特性が現れてそれぞれ個別の課題を生み出しています。住宅街と山間部に点在する集落の被害ではたとえ同じ広さが被災したとしても件数が違います。浸水被害なのか土砂災害なのかで、必要とする作業の量や質も変わってきます。そしてその地域に復旧作業を担う力がどれだけあるのか(市町村の規模や若者がいるのか等)も、今後に大きく影響する要素です。
現在支援を実施している3地域について、それぞれ被害の特徴と今後の課題について以下にまとめました。

【岡山】(倉敷市真備地区)

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真備地区は小田川などが8ヵ所で決壊し、広範囲にわたる浸水被害を受けました。報道で大きく取り上げられたこと、新幹線の駅から遠くなく遠方からのアクセスが良かったことなどもあり、他のボランティアセンターに比べても多くの支援者が集まりました。しかし、2,000戸以上が全壊判定を受け、更にその中でも多くが2階までの浸水被害にあっているため、例えば1軒から家財の搬出ニーズでもこれまでの水害に比べると2倍の量に対応しなくてはなりません。全体の件数、1軒あたりの搬出家財及び災害ごみのボリューム共にとても多く、復旧作業にこれまでより多くの人手が必要です。
また、床剥ぎ・壁剥ぎに加え天井剥ぎなどの剥作業も、家屋再建に必要なプロセスになりますが、技術を要する作業のため、予め構造への理解や熟練者からのレクチャーが必要です。一般的なボランティアでの対応が難しいこうした内容にも、より多くの人が対応できるよう、技術を伝えできる人を増やす機会を作ることも支援活動の一環として検討しています。
今後の住まいをどうしていくかは、目下住民が抱える大きな課題の一つですが、今後、他の被災地と同じように公費による全壊家屋の解体(公費解体)の制度が適応されれば、地域の景色もさらに変わっていきます。同じ場所に家を建てるのか、近隣市町村へ引っ越すのか。個人の選択と地域コミュニティとしての在り方など、中々複雑な問題を考えていかなければなりません。
過去の災害から鑑みて、例えば地域からの転出者が増えコミュニティの解体が進行したり、被災有無に関わらず、地域の変化に対して孤独感や不安感を抱く方の孤独死や関連死という形での被害が拡大したり、予見できる二次的な被害の可能性は様々にあります。なるべくこうしたことが起こらないよう、家屋の復旧支援という物理的な支援にあわせて、コミュニティ支援や居場所・生きがいづくり支援、まちづくり支援などの中長期的なソフト面の支援も必要になると考えています。

活動予定期間:7月10日~7月末・9月~
活動予定内容:VC運営サポート・重機ボランティア調整・ボランティア募集

 

【広島】(安芸郡坂町)

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広島県内では、17市町村が土砂災害・河川の決壊によって大きな被害を受けました。県内の複数の地域が被害を受けたため、県内や近郊の支援者が分散してしまい、十分に必要な支援の手を確保できていない状況です。県の南部で流出した土砂は少なくとも400万立方米に上ると推計されており、これは2014年の土砂災害と比べると南部で8倍、県内全域だと10倍にのぼると国土交通省が推計しています。この土砂に対応するには重機・人力、それぞれで2014年以上の力が必要です。
一方で、民有地に流れ込んだ土砂の撤去を行政が行うという方針も提示されました。(詳細はこちら)これにより、条件が合えば住民の方の負担なく、土砂や漂流物の撤去が可能になりました。しかし、河川や道路など緊急性・公共性の高い現場から作業が進むため、民有地などの撤去はどうしても優先順位が下がります。そのため狭い生活道路の開口や、家屋再建のため撤去を急ぐケース、思い出の品や遺品などだけでも先に出したいというニーズにボランティアが対応しています。新たな仕組みの適応で、以前よりも自衛隊・国土交通省・県や市町村から委託を受けた業者・ボランティアなどが土砂撤去の作業にあたっているため、それぞれの機関との調整と整理が必要になっています。
また、ほとんどが2階まで浸水してしまった倉敷市の真備町エリアとは違い、1階部分に土砂が入ったお家が多数です。もちろん流木や岩などにより家の構造自体が大きなダメージを受けている家もありますが、2階部分は被害を受けていない場合も多くあります。そのため、避難所には行かず2階部分で「在宅避難」をされている方も少なくありません。生活の主な機能(風呂・トイレ・台所)は被災して使えない、もしくはライフラインの一部が未復旧という場合も多いですが、体が不自由で迷惑になるからとか、不自由ながらも自分の家がいいと生活を続けられています。こうした在宅避難者に関しては、過去の被災地同様、実態の把握が難しく必要な支援が行き届きにくい傾向にあります。発災から1ヶ月が経ちますが、今後も長期化が見込まれる避難生活をどう支援するかも大きな課題です。

活動予定期間:7月25日~8月末
活動予定内容:VC運営のアドバイス・重機ボランティアの調整・ボランティア募集

 

【愛媛】(宇和島市吉田地区)

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宇和島市では山間部の複数箇所が崩れた結果、土砂災害が発生しました。発災により従来使用されていた水脈も被害を受け、約1ヶ月断水が続きました。家屋は土砂災害から免れたものの、断水による間接的な被害を受けていた住民が多いこと、断水で復旧作業が遅れた点が大きな特徴の一つです。
また、一次産業が中心の山間部には今後の支援基盤となれる若者が少ない上に、外からのアクセスも悪いため、復旧に必要な支援者・若い力を外から呼び込む点に関しても課題を抱えています。県内の中心地松山市から宇和島市のルート上には、床上浸水3000件の大洲市・1000件を越える西予市が位置しています。宇和島市は1000件未満と件数を比較すると少ないものの、ダム放流による浸水被害を受けた大洲市・西予市と違い、土砂災害では復旧作業で土砂の撤去が必要になります。しかし、数字のインパクトやアクセス面の点から宇和島市よりも2市へ支援が集まっていると感じています。
更に、吉田地区は漁業・農業などの一次産業が中心の地域ですが、特にみかん畑が大きな被害を受けました。農地被害は復旧作業に時間がかかるケースも多く、生活の糧への被害は、生活再建に更に大きな打撃を与えています。今後、みかん農家をどう支援していくかが大きな課題となりそうです。

活動予定期間:7月25日~9月末
活動予定内容:VC運営のサポート・地元支援者のサポート・ボランティア募集・夏休み企画

*この活動にあたり、日本財団の助成を活用しています*

ボランティア募集中
愛媛県宇和島市・広島県坂町・岡山県倉敷市でボランティアを募集しています。
*倉敷市は関係団体のご紹介です。
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後方支援のお願い
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