1月レポート

年末年始は震災から一年の節目。
普段以上に全国各地のメディアから取材が入っていた印象です。多くの住民の方が取材に応じていたり、今まで現地でお世話になった方が番組で取り上げられたりしていました。
そうして取材でにぎわう一方、能登でお正月を迎えない人も一定数いたようです。例年は家族が集まっていた家に比べて、仮設住宅はかなり狭い。
(1Kの仮設の部屋に孫たちが泊まりに来て、押入れや廊下も使って寝泊まりしたという話も聞きました)
泊まる場所がないので集まるのを見送る方、お正月のタイミングは気持ちが落ち着かないから金沢に行くという方も。これまでとは異なる環境の中で年末年始を迎えられた方が多くいらっしゃいました。

 


特に輪島市門前町では、今まで活動しているNPOで分担して仮設住宅の集会所などで年越しの集まりが企画されました。
一人で年越しをされる方は、ひとりテレビで能登半島地震の特集を見るかもしれない。必要以上にさみしくならないように、できるだけ年越しの期間は近くにいたいねとの意見からでした。
私たちも、仮設住宅の集会所にて年越しそばやおせちを食べて、地域の方といっしょに年越しさせてもらいました。

今年は、仮設住宅や在宅コミュニティにおいてワークショップやサロンがたくさんできればいいなと思っています。
もともと、能登の寒い冬は家にこもってしまう方が多いそう。
しかし地震と水害で生活がガラリと変わった方も多いので、閉じこもったままは少し心配になります。
地域の方同士が集まれる場をつくったり、訪問したりして、安否確認や様子うかがいができるような取り組みを進めています。

現場のニーズについては、年内にある程度対応の進んだところです。
寒さや天候もあって年があけてからは少しスローペースになりつつあります。
が、公費解体が進むからこそ出てくるニーズもあり、対応が必要な案件はゼロにはなりません。
他の団体と相談しつつ、重機での土砂撤去や家財移動など対応を続けています。
今までは道路の応急復旧などで入りづらかった場所もあります。
悪路で通行に注意が必要なため、NPOが先行して土砂撤去や状況の整理に入りはじめました。
春に向けて一般のボランティアさんが入れるように、関係各所と相談しながら今から進んでいく地域があります。
今後も降雪などの状況をみながら、安全第一で活動する予定です。

こうして現場で必要な資機材を、行政で準備・活用できないかと、県や市と協議しています。
「災害救助法」や「堆積土砂排除事業」などの制度で、NPOが敷地内で土砂撤去活動をする費用をカバーできるのが理想です。
しかし、会議を重ねるほど、制度の運用の難しさを痛感します。
災害時における制度の簡素化が必要であると同時に、ひとつひとつ丁寧に事例を作っていくべきだと改めて感じました。

 

また、現地で活動を続ける中で、自立を促す支援が増えてほしいと感じることが多くなりました。
仮設住宅では、現在も炊き出し支援や物資配布があります。
もちろんたくさんの方に喜ばれているのですが、状況によってはかえって自立を妨げる要因となる場合も。一部の地域では不安の声も聞かれます。
まだ支援を必要とする方々は多くいらっしゃいますが、状況に応じた適切な支援を考える人が増えたらいいなと思います。
支援の「引き算」を考慮すべき段階に入っているのかもしれません。

スライドショーには JavaScript が必要です。