9月レポート(能登豪雨)

9月の豪雨で犠牲になられた方に心よりお悔やみ申し上げます。再び被害にあわれたみなさんが、一刻も早く安心して生活できるように、できるだけのことをしていきたいと思っています。

地震のニーズが落ち着いてきたけど、ゼロには当分ならない。でも全国的な支援も縮小していくので、どうやって能登の各地を支えるかを考えていました。
水害に見舞われるまでは。

常々どこに災害が起こってもおかしくないと思っている私たちでも、おどろきショックを受けました。

いつも活動で見慣れた景色が濁流にのまれた
活動でお世話になった方が亡くなったというニュース
支援に入ったお家が泥だらけになったこと
仮設住宅が浸水する光景
心が折れたと口々に話す方たち

一軒ごとの浸水高はそこまで高くない場合もあります。
しかし、ようやく修繕が終わった家だったりもするのです。
復旧を進めていた矢先、今までの苦労が水の泡になって濁流にのまれてしまいました。

新しく入れたエコキュートが一回も使わないのに土砂でやられた
屋根の修理が終わった翌日に床上浸水になった
浄化槽の入替えが済んで仮設住宅を退去しようとしていた
地震で母屋に住めないため納屋で生活していて、ようやく仮設入居ができて一カ月もたたないうちに仮設が床上浸水した
地震後新築した家が被害にあった
中古でどうにか買った車が水没した
など

倒壊した家屋から、どうにか大切なものを探し出し置いていた方。その倉庫が浸水したという話もよく聞きます。
どう声をかけたらいいのか、迷うような状況に何度も出会います。

仮設住宅が床上浸水するのは、今までで初めてのことではないでしょうか。
初めてのことで、いろんな混乱や想定していなかった課題が生まれています。

例えば、支援物資が仮設住宅の集会所などに運び込まれ支援スポットになりました。
仮設住宅で停電や断水したためでした。
同じく仮設住宅の近くの地域も停電や断水があって、近隣住民も仮設住宅の集会所へ物資を取りに行ったところ、この物資は仮設住民の物、と追い返されてしまったとのこと。
ふだんの緊急期なら、避難所が物資支援などの拠点になるのですが、仮設住宅があることで住民の方への支援拠点が分かりにくくなっているのだと感じました。

今回の水害で、再び孤立した集落もたくさんあります。
仮設住宅含めて孤立してしまった所もあります。
今回の孤立が解消されても、また集落へのアクセスが絶たれてしまう可能性も。
地震と水害で集落への道が全て断たれ、1週間たっても車で行けない地域があります。
歩いたら行ける場所へは、何人かでチームを作って歩いて物資を届けたり、歩いて土砂撤去のお手伝いに行ったりしました。
どうにか避難しようとしていた方と出くわして、おんぶして山を降りてきたこともありました。

家屋だけでなく、地震から復旧した商店や事業所なども被災しています。
そうした地域を支える生活インフラへの支援も、とても重要です。
なりわいへの支援が見出せないと、人々はそこで生きていけません。
生計を立てられるイメージがなければ、絶望して最悪の事態を選んでしまうのではないかと心配しています。

町野町では、地域唯一のスーパーが被災してしまい、生活用品や食料品を買える場所がなくなってしまいました。もともと買物困難な方もいたため、移動販売車が仮設住宅などを巡っています。しかしそれも十分ではありません。地域のスーパーが営業できなくなったことで、水道や電気が復旧したとしても、食事や生活に困る方が一定数いらっしゃいます。

高齢化、移動困難、山間部の集落維持、人口減少、それぞれもともとの課題です。

復旧復興とともに、地域やまちをどうしていくのか、どう支援を入れていくのか、誰がどう対応していくのかは早めに議論される必要があると感じています。

今回の被害は被災した住民だけでなく、それを支える地元の支援者側にも大きな打撃をあたえています。

災害ボランティアセンターを運営する社会福祉協議会のスタッフも、再び被災しているのです。もちろん行政の方も被災されたり、再び災害対応に追われています。

実は、地震の被害対応のピークが過ぎたからこそ、全国的な駐在支援が一旦解消されていました。
そこで起きた水害で、マンパワーが圧倒的に足りない。
人が減る中で、再び緊急期の対応を行っていて、現地で対応している支援者の方へのシワ寄せ、疲労が心配です。

そもそも甚大な被害だった地震災害の上に、水害の被害が重なっています。
市町村レベルではとても太刀打ちができません。
一度制度を使って復旧しようとしていた家が、再び泥水に使った場合、今後どういった救済制度や補助制度があるのか。
まだ国からの方針等が示されないままです。

今後ほんとに自分たちは再現できるのだろうか、この地域で再現してよいのだろうかと、絶望と不安が入り混じっていると感じます。

いかに希望を持てるか、この先の道を照らすお手伝いができるか、が一つのポイントになると思っています。